菌な人をご紹介[Autumn 2022]
世界には私たちが知らない、ふしぎな菌が数多く存在しています。
今回はそんな菌を愛する、変形菌ハンターをご紹介。
ヒトと菌類、どちらが高等生物?
今から遡ること3億年~3億6千万年前、地球は石炭紀にありました。倒れた固い木材は腐ることなく、ただただ地球に厚く積み重なっていきました。
3億年前に現れた菌類(きのこ)が木材を分解するようになって、ようやく地球環境は平衡状態を保てるようになったのです。
この頃に現れたのが変形菌です。
変形菌は分解者の菌類や細菌を捕食することにより、分解のスピードを制御していると言われています。
わずか600万年前にうまれたばかりのヒトなどとは年季が違うのです。
自分たちを高等生物と呼んで、菌類などを下等生物と呼ぶヒトの愚かさをわかっていただけると思います。
ヒトが消えても環境には何の影響もありませんが、菌類や変形菌がいなくなったら地球には大変動が起こるのです。
森の花?森のたらこ?クダホコリ
さて今回はクダホコリをご紹介します。
春の日、朽ちて苔むした倒木にぼっと朱色の花が咲いているように見えたなら、それがクダホコリです。
1~2cm程の変形菌としては巨大な種です。(実際は小さな個体が多数集合したものです。)
朝に鮮やかな赤いたらこのような粒々であったクダホコリは、午後にはオレンジ色の花のような子実体になります。
そして翌朝には黒光りする子実体に変身していて、私たちの視野から消えていくのです。
この中には胞子がびっしりと詰まっていて、風と共に世界に舞っていくのです。
文章・写真ご提供はこの方
引地 美喜子 さん
十和田奥入瀬・八甲田山麓をフィールドに、早春から晩秋まで変形菌を探して山野をかけ巡る自称変形菌ハンター