粘菌の世界~森の片隅の、小さな思考者たち[Summer 2025]



世界には私たちが知らない、ふしぎな菌が数多く存在しています。
そんな菌を愛する変形菌ハンターによる、美しい世界をご紹介。
変形菌はどこにいるのでしょうか
変形菌は世界中の陸上(実は水中にも)に広く分布しています。胞子は風に乗って飛んでいくので、熱帯に多い種や寒冷地に多い種、雪の下で数か月を過ごす種などはいますが、地域の固有種はいないと言われています。分解者である菌類や細菌類を餌としているので、落ち葉や腐朽木の上。乾燥を嫌うので湿潤な森林に多く、公園の生木の街路樹などでもよく見られます。道路わきなど環境が攪乱したところでもよく見られます。
ブナや杉など、多様な環境下で異なる種類の変形菌が生息しています。動物の糞・特定のキノコの上など、変わった場所を好む変形菌もいます。南極昭和基地のトイレの中で、隊員とともに越冬した変形菌もいたそうです。
カタホコリの仲間
新緑の季節に森を歩くと、足元には前年の落ち葉が絨毯のように広がっています。1 枚をそっとめくってみると、息を飲むような光景が目に飛びこんできました。誰かがそっと隠しておいたような繊細な模様をもつカタホコリの仲間達です。冬の寒さをじっと耐えて春の暖かさを待ちわびて姿を現したのでしょう。同じように見えますが、よくみると白い柄・黒い柄、長い柄・短い柄など違う種類のカタホコリの仲間達が葉っぱの上に整列しています。シロエノカタホコリ、ゴマシオカタホコリ、ヒメカタホコリ、クラカタホコリ…もう名前も覚えていられないくらいたくさんの種が発生していて、宝探しが楽しい
春の森です。

引地 美喜子 さん
十和田奥入瀬・八甲田山麓をフィールドに、早春から晩秋まで変形菌を探して山野をかけ巡る自称変形菌ハンター


