人と菌~ポストバイオティクスって何? 敏感肌にも気になる“菌が生み出す成分”とこれからのスキンケア!~美肌菌のBioMedi
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プロバイオティクス、プレバイオティクスに続いて、最近よく耳にするようになったのが「ポストバイオティクス」です。言葉だけを見ると難しそうですが、考え方はとても面白いものです。ポストバイオティクスは、簡単に言えば、微生物そのものではなく、微生物由来の成分や代謝物、菌体成分などに注目する考え方です。つまり、「菌を入れる」だけではなく、「菌が生み出したものを活かす」という視点です。
美肌菌の話をするとき、つい「どんな菌がいるか」に目が向きます。けれど、菌が肌の上で何を生み出しているのか、肌とどんなやりとりをしているのかも重要です。ポストバイオティクスは、美肌菌を“存在”だけでなく“働き”から考えるための新しい入口になります。
この考え方が美容領域で注目される理由の一つは、処方のしやすさにあります。生きた菌を化粧品に入れる場合、安定性、安全性、防腐設計、品質管理など、多くの課題があります。一方、ポストバイオティクスは、生菌そのものではないため、比較的扱いやすい可能性があります。2025年の皮膚健康とポストバイオティクスに関するレビューでは、皮膚マイクロバイオーム、炎症、バリア、創傷治癒などとの関係が整理され、今後の応用可能性が議論されています。
菌研究から見えてきたこと
ただし、ここで大切なのは、ポストバイオティクスを“新しい魔法の成分”として扱わないことです。研究は進んでいますが、成分の定義、抽出方法、濃度、臨床試験の質、実際の化粧品処方での働きにはまだ幅があります。2026年のスキンマイクロバイオーム化粧品レビューでも、バイオティクス系成分への期待と同時に、根拠のばらつきや規制上の曖昧さ、マーケティング表現の難しさが指摘されています。

では、ポストバイオティクスはなぜ肌と関係するのでしょうか。皮膚常在菌は、ただ肌の上に存在しているだけではありません。皮脂や汗、角質由来の成分と関わりながら、脂肪酸やペプチド、酵素、その他の代謝物を生み出します。これらが肌表面のpH、他の菌とのバランス、免疫反応、バリア環境に影響する可能性があります。つまり、肌の上では菌そのものだけでなく、「菌が何をしているか」が重要なのです。
これは腸内細菌の研究とも似ています。腸内細菌についても、近年は菌の種類だけではなく、短鎖脂肪酸などの代謝物が注目されています。どんな菌がいるかだけでなく、その菌たちがどんな物質をつくり、体とどう会話しているか。ここに研究の焦点が移ってきています。美容におけるポストバイオティクスも、同じ流れの中にあります。
美肌菌が働いた分だけ、良い成分に満たされる
ビオメディが大切にしている「常在菌との共生」は、この考え方と自然につながります。共生とは、菌をただ増やすことではありません。菌と人の間にある関係性を整えることです。肌にとって必要なのは、無菌状態でも、過剰に何かを足し続けることでもなく、常在菌が働きやすい環境を守ること。ポストバイオティクスの発想は、その関係性の“結果として生まれるもの”にも目を向ける視点です。

敏感肌の人にとって、この考え方が役立つのは、「強く攻める美容」から距離を置けるからです。肌がゆらいでいるときほど、何か効きそうなものを足したくなります。けれど、肌が不安定なときに刺激の強いケアを重ねると、かえって負担になることがあります。ポストバイオティクス的な美容は、菌や肌の生態系に注目しながら、肌環境を静かに支える方向性を持っています。
明日からできる小さな実践
日常のスキンケアに落とし込むなら、ポストバイオティクスを難しい専門用語のまま覚える必要はありません。大切なのは、肌を“変える対象”ではなく“育つ環境”として見ること。強い洗浄や摩擦で土台を荒らさない。乾燥させない。肌が揺らぐ日はケアを引き算する。こうした基本は、どんな先端研究が出てきても変わらない、肌との付き合い方の土台です。
ポストバイオティクスの面白さは、目に見えない菌の世界を、成分や働きとして少しだけ見える形にしてくれるところにあります。菌はただ“いる”のではなく、肌の上で働いている。その働きを尊重することは、自分の肌をもっと丁寧に見ることにつながります。新しい美容用語を追いかけるより、自分の肌の小さな声を聞くこと。そこに、これからの菌ケアの本当の価値があるのかもしれません。
ポストバイオティクスを語るとき、もう一つ面白いのは“結果としての成分”に目を向ける点です。私たちはつい、菌の名前や数に注目しがちです。しかし実際には、菌がどのような環境で、どのような代謝物を生み、肌とどのような関係を結んでいるかが重要です。これは人間関係にも似ています。誰がいるかだけでなく、その場にどんな空気が生まれているか。肌の上でも同じように、環境と働きの両方を見る必要があります。
ビオメディが考える美肌菌のケアは、肌に何かを強く命令するものではなく、肌と菌が自然に働ける余白を残すことです。毎日の洗い方、保湿、摩擦の減らし方を少し見直すだけでも、美肌菌を意識した暮らしは始められます。
このブログが少しでも皆様の肌の健康のお役に立てることを願って。
執筆:岡本鏡子
よくあるQ&A
Q1. ポストバイオティクスは、生きた菌とは違うのですか?
A. 違います。一般にポストバイオティクスは、菌そのものではなく、菌体成分や菌が生み出した代謝物などを含む考え方です。生菌をそのまま使うより処方しやすい面がありますが、成分の種類や根拠を丁寧に見る必要があります。
Q2. 美肌菌ケアとポストバイオティクスはどう関係しますか?
A. 美肌菌ケアは、肌にいる常在菌と共にすこやかな肌環境を目指す考え方です。ポストバイオティクスは、その菌たちが生み出す成分や働きに注目するため、美肌菌が肌に具体的に何をもたらしてくれるのか知ることができます。
Q3. 新しい成分なら、すぐ取り入れた方がよいですか?
A. 新しい言葉ほど、焦って飛びつく必要はありません。大切なのは、肌を洗いすぎず、乾燥や摩擦を減らし、美肌菌がすごしやすい土台をつくること。その上で、成分の根拠や処方設計を見て選ぶのがおすすめです。
参考文献・参考資料
・Munteanu C. et al. (2025) Unraveling the Gut–Skin Axis: The Role of Microbiota in Skin Health. Cosmetics. https://www.mdpi.com/2079-9284/12/4/167
・Kapoor M. P. et al. (2025) Dietary intervention of prebiotic partially hydrolyzed guar gum improves skin hydration and TEWL: randomized double-blind placebo-controlled study. Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39896159/
・Chia J. et al. (2026) The Skin Microbiome Revolution: The Science and Challenges of Pre-, Pro-, Post- and Synbiotic Skincare. Cosmetics. https://www.mdpi.com/2079-9284/13/1/43
・Talens-Visconti R. et al. (2026) Cosmetic Interventions for Skin Microbiome Modulation. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC13084527/
・Prajapati S. K. et al. (2025) Microbiome and Postbiotics in Skin Health. Biomedicines. https://www.mdpi.com/2227-9059/13/4/791
・Zeng M. et al. (2025) Prebiotic Oligosaccharides in Skin Health: Benefits, Mechanisms, and Applications. Antioxidants. https://www.mdpi.com/2076-3921/14/6/754
表現上の注意:本記事は研究知見を一般向けに解説するものであり、特定の疾患の治療・予防や、製品による医薬的効果を示すものではありません。


